入試国語というゲーム①
前回「いずれ」と書いたのですが、羽田空港を歩いていてたくさんの受験生の姿を見ているうちに気が変わったので今回は入試国語についての話にしようと思います。
入試国語は「3人でやるゲーム」だと考えるとうまく説明がつきます。
まずはゲームの親である「出題者」。「うちの学校で勉強するならこのくらいの文章を読めるように」と切り取ってきた文章に設問を施して「受験生」に問いかけてきます。切り取られてきた文章を書いたのが「筆者」です(物語文の中には、虚構された「語り手」という人格を立てた方がより上手く説明がつけやすい場合もあるのですが、まぁ今日はそれはおいておきましょう)。つまり、受験生は出題者、筆者というふたりの大人に対応していきます。
出題者は受験生に問いかけます「筆者は何と言っていますか?」「筆者はどう表現していますか?」と。ポイントは「受験生のあなた、どう思いますか?」ではないところです。思想の自由、言論の自由のもとで筆者が言っていること、それを理解しているかどうかを試されているのです。
それを前提に考えれば、数学的な記号ほどクリアにはなりにくいにせよ、国語の解答にもひとつの方向性があることが納得できるのではないでしょうか。たとえば筆者の言っていることを「間違いである」と我々が判断する時、我々は「筆者が何と言っているか」をある程度正しく理解している筈です。国語で問われているのは原則そこの部分の理解までです。
自分の考えの表明はひとまず置いておき、課題文の筆者が何と言っているのかを理解する。そして出題者に向けて「あのね、このひとこんなこと言ってるんですよ」と説明する…かなり高度に自己を相対化しなければ、このオペレーションは難しいですよね。
by sjfujii
| 2018-02-16 21:32
| 教育